2007 年 7 巻 2 号 p. 215-234
本研究は、全国のK-NET、KiK-net等の強震記録に対してスペクトルインバージョンを適用し、強震観測地点におけるサイト増幅特性を求め、また、これを利用した強震動シミュレーションを実施し、その有用性を示したものである。スペクトルインバージョンに関しては、すでに類似の研究も行われているが、本研究では、後続位相を含む波形全体から計算されるフーリエスペクトルを解析の対象とすることにより、古和田他の方法による強震動評価に適したサイト増幅特性の算定を行っている。また、基準観測点の選定に関しても新たなクライテリアを設けている。解析の結果得られた震源スペクトルから地震モーメントを計算したところ、F-net のCMT 解と良く一致する結果となった。また、算定されたサイト増幅特性を利用し、既往の内陸活断層地震および海溝型地震を対象に、古和田他の方法による強震動シミュレーションを実施した結果、適切な震源モデルさえ与えられれば、0.2-1Hz の速度波形を適切に評価できる見通しが得られた。