抄録
地震動指標として、最大加速度、最大速度、計測震度、SI値およびリアルタイム震度 (RI値) をとりあげ、比較検討した。最大加速度は監視する上限周波数の違いにより大きく異なるので、上限周波数を明確にして議論する必要がある。上限周波数を5Hz に制限した最大加速度5HzPGA は、計測震度との関係でみれば、被害との相関性が高いとされるSI 値と大きな違いはない。計測震度やSI 値は、地震動のパワーを基に定義されたRI 値とほぼ一対一に対応し、被害との相関性の高さを裏付けている。地震後にしか算定できない計測震度や比較的長周期の応答を算定しなければならないSI 値は、リアルタイム性に乏しく、警報には不向きである。これに対して、RIは、その最大値 (RI値) がほぼ計測震度に一致するのみならず、P 波に対して敏感に反応するのでもっとも迅速で的確な警報が実現できる。RIの被害との関連性は物理的に保証されており、今後、各方面で有効に利用されるものと期待される。