社会言語科学
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展望論文
Gregory Batesonによる生の基準としてのメタ・コミュニケーションとその系譜―1946年3月第1回メイシー会議から1987年『天使のおそれ』まで―
花田 里欧子
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2016 年 19 巻 1 号 p. 54-69

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抄録

本稿は,Gregory Batesonの思索を軸に,メタ・コミュニケーションを生の基準としてたどることで,本来的な原義を論じる.Ruesch & Bateson (1951)はメタ・コミュニケーション概念を「コミュニケーションについてのコミュニケーション(communication about communication)」と定義し,その後,異分野・多領域の研究者がこれを便利な概念として受容した.ところが,概念の定義は研究者によってまちまちとなり,無定義のまま多用されたため,概念の当初の意味や枠組み,その多義性については曖昧になり,概念の変容が生じた(Bavelas, 1995).本稿では,そもそもBatesonがメタ・コミュニケーションをどのように提唱し,展開してきたかについて,1946年3月第1回メイシー会議から1987年『天使のおそれ』までの間の歴史的ならびに理論的な足跡を通じて,明らかにする.

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© 2016 社会言語科学会
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