イガイ科二枚貝の有機塩素化合物蓄積特性を理解するため, 油壼湾と東京湾 (蒼鷹丸桟橋) において1998年7月~10月の間, 8週にわたってムラサキイガイとミドリイガイの移植実験を行った。移植後2週間でイガイ中のPCBsおよびDDTsの濃度は上昇し, その後自生のイガイやカキとほぼ同等の濃度レベルに達した。また, DDTsやCHLsの組成の変化も同様の傾向を示し, イガイは2週間程で海水中のPCBsやDDTs汚染を体内に反映することが明らかとなった。このことは, 海水汚染の短期変動を理解したい場合, イガイは適した指標生物であることを示している。ムラサキイガイとミドリイガイは類似のOCs蓄積特性を示したことから, 同一種でなくても海水汚染のモニタリングは可能であることが示された。