2012 年 115 巻 11 号 p. 950-956
今回われわれが経験した頸部リンパ節結核10症例をもとに診断上の問題点について検討した. 全例に穿刺吸引細胞診を施行し, 9例で肉芽腫性病変疑い, 1例でclass IIIの診断となり, 病理組織診断確定のために全例で開放リンパ節生検を行った. 8例は病理組織で乾酪壊死を含む類上皮細胞肉芽腫を認め頸部リンパ節結核と診断し得たが, 残り2例は病理組織で乾酪壊死を含まない類上皮細胞肉芽腫と診断され, 当初はサルコイドーシスが疑われた. 2例とも生検したリンパ節の抗酸菌培養が陽性となり確定診断に至ったが, 診断確定までに8週間を要した. 診断後は, 全例に抗結核薬による化学療法を行い, 再発症例はみられていない. 頸部リンパ節結核は個々の検査法の診断率の低さから診断に難渋することがあり, 赤沈測定, ツベルクリン反応, クオンティフェロン検査, 超音波ガイド下の穿刺吸引細胞診で本症が疑われる場合にはリンパ節生検を行い, 病理組織検査, 培養検査, PCR検査など複数の検査を組み合わせて行うことが最も重要である.