日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔内破裂をきたしたS状結腸癌卵巣転移の1例
竹林 隆介出石 邦彦佐野 貴範萩池 昌信岡野 圭一鈴木 康之
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2010 年 71 巻 7 号 p. 1822-1827

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抄録

54歳女性,腹部膨満感を主訴に当院内科を受診.大腸内視鏡検査で,S状結腸に約半周性の2型病変(生検:高分化型腺癌)を認め,数日後に自覚症状が強くなり緊急入院となった.入院後の腹部造影CTで,S状結腸の壁肥厚像,長径約10cm大の多房性嚢胞性腫瘤と多量の腹水を認めた.腹水細胞診はclassIIで,貧血もなく,左卵巣癌の疑いで精査を進めたが,急な腹痛と腹水の増加を認め緊急開腹手術を施行した.開腹時に濃厚な血性腹水を認め,左卵巣腫瘤の破裂による出血と判明した.腹水の迅速細胞診で腺癌細胞を認め,S状結腸癌同時性卵巣転移の破裂と診断,高位前方切除術+左卵巣摘出術を施行した.病理組織診断および免疫組織診断により左卵巣腫瘍はS状結腸癌の卵巣転移と診断された.術後は補助化学療法を施行し,術後4年現在,無再発生存中である.

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© 2010 日本臨床外科学会
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