抄録
症例は82歳,男性.孫がvon Willebrand病と診断されている.下血を主訴に来院し,S状結腸に半周性の2型病変を指摘されS状結腸癌の診断で手術を行った.術前の血液検査でvon Willebrand因子活性の著明な低下を認めvon Willebrand病と診断した.手術直前と術後5日間に第VIII因子/von Willebrand factor濃縮製剤を投与してvon Willebrand因子活性を良好に保ち,異常出血をすることなく退院した.von Willebrand病は血小板機能障害や第VIII凝固因子の不安定化をきたし,外傷,手術,分娩等の外的要因が加わった際に止血管理が困難となることがある.von Willebrand病患者に観血的処置を行う際には,von Willebrand因子を補充するなどして周術期の止血管理を行うことが重要であると考えられ,文献的考察を加え報告する.