日本内科学会雑誌
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溶血性貧血で発症したウイルソン病の1例
鍋島 紀滋津浦 佳之三浦 賢佑森安 史典吉田 弥太郎内野 治人
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1988 年 77 巻 7 号 p. 1021-1024

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抄録

症例は21才,男性.両親は曽祖父母を同じくする血族結婚で, 10才時に,原因不明の溶血性貧血を発症し,自然に軽快している. 20才時より,手指振戦,構語障害が出現した.カイザー・フライシャー輪が両眼に認められ,血清銅低値,尿中銅排泄増加,血清セルロプラスミン低値より,ウイルソン病と診断された.ただちにD-ペニシラミンの投与を開始し, 3カ月後から著明な尿中銅排泄の増加がみられ,手指振戦,構語障害にも改善がみられている.まれにウイルソン病が溶血性貧血で発症することがあるが,今回われわれは以上のような1例を経験したので,ここに報告する.

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