食品衛生学雑誌
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MPN-PCR法により測定した市販魚介類中の腸炎ビブリオおよび耐熱性溶血毒遺伝子陽性菌数
三輪 憲永柏木 美智子川森 文彦増田 高志佐野 世乃廣井 みどり倉重 英明
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2006 年 47 巻 2 号 p. 41-45

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抄録

種特異性の易熱性溶血素遺伝子(tlh)および耐熱性溶血毒遺伝子(tdh)を目標とするPCR法を用いたMPN-PCR3本法により,市販魚介類中の腸炎ビブリオおよびtdh 陽性菌数を測定した.生食用魚介類では,魚類4/30 (13.3%), 甲殻類11/20 (55.0%), 貝類29/30 (96.7%)が腸炎ビブリオ陽性であった.菌数は魚類および甲殻類ではすべて104 MPN/100 g未満であったが,貝類は11検体(36.7%)が104 MPN/100 g 以上であった.また,tdh 陽性菌は検出限界未満(<30 MPN/100 g)であった.加工用魚介類では,魚類15/20 (75.0%), 甲殻類9/20 (45.0%), 貝類20/20 (100%)が腸炎ビブリオ陽性であった.菌数は魚類3/20 (15.0%), 甲殻類1/20 (5.0%), 貝類18/20 (90.0%)が104MPN/100 g以上であった.tdh 陽性菌は,貝類7/20 (35.0%)が陽性で,菌数は3.6×10から1.1×103 MPN/100 gの範囲であった.また,tdh 陽性の7検体のうち4検体からtdh 陽性腸炎ビブリオが分離された.

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© 2006 公益社団法人 日本食品衛生学会
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