2010 年 31 巻 p. 163-174
本研究は2006年の本学会誌で発表した拙稿「高齢者美術教育の可能性-老人介護施設の粘土遊び実践に関する一考察」に継続するものである。ここでは高齢者の学びの実現に向け,「コミュニティーアート」という観点から,「浮かぶオブジェ」及び「きらめくブラインド」という共同制作によるインスタレーションという試みを通して,高齢者の創造的な活動を支援した。その結果,共同制作の手法を用いることで,高齢期の生きがいとして重要な「他者との関わり」の充実が図られ,「コミュニティーアート」が「教育」,「福祉」,「医療」の三位一体の可能性を内包しているということが明らかになった。