抄録
本稿の目的は,創造美育運動を戦前・戦後の連続性,非連続性の視点から捉え直すことによって,戦後日本の美術教育に多大なインパクトを与えた要因を探ることにある。そのため,創造美育運動内部および伝統的な美術教育との対外的な関連の二つの視点から戦前・戦後の連続性,非連続性を検証した。それにより,1創造美育運動には戦前・戦後に連続性があること,2創造美育運動の児童画評価は「教育評価」というより「コンクール評価」であり,戦前からの児童画コンクールの審査と連続性があること,3同時に,創造美育運動の児童画評価は,造形的な問題よりも絵に向かう子どもの態度や姿勢を重視する点で従来の児童画審査とは非連続的であること,4創造美育運動の方針やスタイルは従来の伝統的な教育研究と非連続的であること,5創造美育運動の歴史や伝統に対する非連続性が戦後美術教育にインパクトを与えた要因であったこと等を明らかにした。