抄録
本研究は,子どもの絵の発達と,その指導のあり方を考えるものである。これまでに美術教育学会誌(以下学会誌)第35号と第36号において小学校6年間を継続的に調査した「食事の風景」をもとにして大人の絵に近づく子どもの絵の空間の表現は,様々な方向からの視点でかかれた観面混合などを繰り返しながら発達していくことを記述した。本稿では,現状把握のため平成27年3月に札幌市内203校の全小学校に年間に指導した教科書題材の実施調査を依頼し,約24%の48校から回答を得た。その調査結果から,従前から続く指導観や作品主義などの実態を顕在化させ,子どもの絵の発達と新しい学力観のもとの「子ども観」を踏まえた指導のあり方について論述した。