抄録
鑑賞対象に潜在する学習有効性の掘り起こし及び多角的検討が,現在取り組む読解的鑑賞研究の中心的課題となる。本稿もこの枠内に位置付けられ,カラヴァッジョ「聖マタイの召命」の前稿題材研究を基に行った,信州大学教育学部附属松本中学校3年C組での検証授業を分析した。特に本稿では知識不問との理由から導入を以前嫌った自由解釈に注目し,国語科教科書に載る鑑賞文執筆課題や自由解釈系譜のVTS・対話型鑑賞の検討も含む理論的考察とワークシート記述内容の解析の二本立てで自由解釈の有効性を調べ,国際理解的観点からも極めて高い意義・可能性が確認できた。その自由解釈と教師説明とが中身面白く密度濃ければ共存可能な点も実証できた。論争を背景とするマタイ特定作業やロールプレイの導入も前稿論察を受け補説し,「聖マタイの召命」を学習材に使う読解的鑑賞の具体的提示が進展できた。