抄録
本研究では保育現場における生活画の活動を参与観察し,描画後の子どもと保育者の間に生じる「かかわり」の詳細を分析した。その結果,描画後のかかわりは,保育者と子どもが一対一で話す機会となっており,保育者は子どもとかかわる中で,「絵を描く動機となった子どもの体験」や「子ども自身」を受容していた。一方,描画後の子どもは,絵について保育者へ語る中で,自らの体験を整理し,深めていた。また描画後のかかわりは「保育者」と「自らの絵について語る子ども」だけでなく,「その周囲にいる子ども」との間にも生じていた。描画後の子どもと保育者がかかわる場が,その周囲にいる子どもの「他者の表現を尊重する基盤」を育み,「友達の絵の鑑賞」や「体験の共有」の契機となる様子が示唆された。