抄録
本考察は,子どもの造形活動と周囲との空間の関わりに注目し,造形遊びと,絵や立体題材の実践を比較して,表現領域(ジャンル)の違いからその特徴を抽出する。場所に固有の「場所の空間」と,造形活動によって新たに生まれる「造形空間」を分けて考察した。造形遊びでは「場所の空間」がそのまま「造形空間」に繋がり,開かれた空間である。子どもの空間に対する認識が造形活動によって美的に深められる。絵や立体の主題表現では「表したいこと」のイメージから美意識を働かせてつくる「造形空間」で,その自立した空間が,逆に「場所の空間」に働きかけていく。両ジャンルにあっては,作品のもつ空間の広がりの方向性は当初において異なる。しかし双方の活動とも図画工作科の表現には,空間との関わりが改めて密接に認められるのである。