抄録
フィンランドの学校教育における国家カリキュラムに,2004年,初めて「メディア教育」が位置づけられた。その後,2014年の改訂でより強化されてメディア教育の需要は高まっていった。2019年に「MEDIA LUKU TAITO SUOMESSA」(フィンランドのメディアリテラシー)が発効されたことで,国を挙げてメディア教育を推進している。一方,同国では生涯学習の思想に基づいた社会教育施設が充実しており,学校教育の課外活動を中心に幼児教育から成人教育まで幅広い年齢層に教育を提供している。これらの施設は学校教育と連携が図られており,「TAITEEN PERUSOPETUKSEN YLEISEN OPETUSSUUNNITELAN PERUSTEET 2017」(芸術カリキュラム)に基づき,学校教育と連携しながら教育効果を高めている。本論では,これらの映像メディア表現に特化した施設が学校現場における授業実践に幅広く寄与し,美術教育における映像メディア表現の一翼を担い,学校教育の活動の場面を拡張し,特徴づけていることを確認した。