抄録
本稿は中学生に,言葉がどのような造形へ置き換えられるのかという関係性を理解させた後に,キーワード(漠然とした主題)を生み出させる指導法が,生徒の作品に対する充足感を向上させるうえで効果的かどうか明らかにすることを目的とする。2017年度に取り組んだ,自分のマークを金属にするという題材と同様の題材において改めて実践を行い,その教育的効果を確認しようとした。生徒のワークシートを分析した結果,言葉がもたらす造形イメージの指導によって,キーワードと造形化のイメージが結びつきやすくなり,生徒の発想・構想は円滑に促されていたことが明らかとなった。また,そのプロセスにおいてマークの原型を早期に考えつき,それを洗練させることに注力するタイプの生徒の割合が,前回と比べて著しく向上していたことがわかった。