抄録
本論の目的は,作品の知識情報を活用した鑑賞学習モデルの研究である。ゲーヒガン(George Geahigan)による,探究をベースとした批評学習モデルに着眼し,高等学校において,同学習モデルを援用した題材の実践と結果の検討を行う。検討の材料には,生徒が筆記した成果物に対するルーブリックを用いた評価,及び5 件法と自由記述によって得られたアンケートの結果を用いる。結果,以下の可能性が確認できた。1 点目,作品に関連する知識情報を深い理解と共に獲得することができる可能性。2 点目,知識情報を活用した新しい作品の解釈を行うことができる可能性。3 点目,美術科教育の学習以外にも活用可能な幅広い資質・能力の獲得に関する可能性。