美術教育学:美術科教育学会誌
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国際学会誌における障害学と美術教育の複合領域に関する研究動向と課題
池田 吏志
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2021 年 42 巻 p. 51-66

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抄録

本稿の目的は,美術教育の国際学会誌で1990年代初頭から2020年の約30年間に公表された障害学と美術教育の複合領域を対象とした論文をレビューし,研究動向と今後の課題を示すことである。『Studies in Art Education』,『International Journal of Art and Design Education』, 『International Journal of Education through Art』の 3 誌に掲載された 7 名の研究者による12 編の論文を対象に,現在行われている教育の何が批判され,どのような理論的方向性が示されているのかを調査した。その結果,論者らは機能制限的,能力主義的な障害観を批判し,ポスト構造主義の戦略をアートに取り入れることで,障害が持つ肯定的/否定的価値観や,統合/ 分離といった二項対立的な構造の再構築や,逆説的な活用を試みていた。本稿は,美術教育の研究者が当該領域の国際的,学際的議論に参入するための基礎的な資料を提供している。 本稿の目的は,美術教育の国際学会誌で1990年代初頭から2020年の約30年間に公表された障害学と美術教育の複合領域を対象とした論文をレビューし,研究動向と今後の課題を示すことである。『Studies in Art Education』,『International Journal of Art and Design Education』, 『International Journal of Education through Art』の 3 誌に掲載された 7 名の研究者による12 編の論文を対象に,現在行われている教育の何が批判され,どのような理論的方向性が示されているのかを調査した。その結果,論者らは機能制限的,能力主義的な障害観を批判し,ポスト構造主義の戦略をアートに取り入れることで,障害が持つ肯定的/否定的価値観や,統合/ 分離といった二項対立的な構造の再構築や,逆説的な活用を試みていた。本稿は,美術教育の研究者が当該領域の国際的,学際的議論に参入するための基礎的な資料を提供している。

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