美術教育学:美術科教育学会誌
Online ISSN : 2424-2497
Print ISSN : 0917-771X
ISSN-L : 0917-771X
明治・大正期に発行された玉川大学教育博物館所蔵歴史掛図に関する検討
牧野 由理
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 43 巻 p. 207-218

詳細
抄録

掛図とは,教室の黒板や壁に掲げられた大判の絵図である。本稿では,玉川大学教育博物館で所蔵している明治・大正期に出版された歴史掛図3点を対象とし,画家や教科書との関係,原典などについて考察する。その結果,《日本歴史之掛図》は小林檉湖,《日本歴史掛図》は小堀鞆音という歴史画家が携わり,鞆音は歴史教科書の挿絵や鑑賞教育の掛図も手掛けていたことが判明した。東京帝国大学文科大学史料編纂掛が発行した高度な印刷技術を駆使した《歴史科教授用参考掛図》は,原図に基づいた図版を作成し「正統的な基準画像」を定めようとしていた。大判で印刷技術の高い歴史掛図は美術鑑賞教材としての役割も果たしていたと結論づけた。

著者関連情報
© 2022 美術科教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top