主催: 公益社団法人 日本食品科学工学会
会議名: 日本食品科学工学会第71回大会
回次: 71
開催地: 名城大学
開催日: 2024/08/29 - 2024/08/31
p. 161-
【目的】食品の食感は消費者の購買意欲や満足度に大きな影響を与える重要な要素であり,様々な食品の食感をデータベース化することは新商品開発に役立つと考えられる.日本人の食感表現は多様であり,その多くがオノマトペで表現される.食感を数値化するためには官能評価が必要であるが,より低コストで簡便に素早く多数の食感を推定する手法が求められている.本講演では機械学習を活用し一軸圧縮試験のデータからゲル状食品の食感を推定する手法について概説する.
【方法】食感を表現するオノマトペのうち,類似したものをまとめることにより,85の食感用語を設定した.8名(男性6名,女性2名)の被験者にゼリー,豆腐,プリンなど44品目のゲル状食品の試料を提供し喫食させた後,各食感用語の印象を0~5点で評価させ,各食感用語の全被験者の平均値を食感スコアとした.また,上記の試料に一軸圧縮試験機でプランジャーを貫入させた後,引き抜いた際の荷重値の変化を記録した.さらに,この荷重値の時系列データを説明変数,上記食感スコアを目的変数とする推定モデルを食感用語ごとに作成した.
【結果】85食感用語のうち,「ばり」,「がり」等22用語については全食品・被験者の平均スコアが0.014以下と低かったため精度評価から除外し,計63の食感用語を評価対象とした.5回のクロスバリデーションで推定値を算出し,決定係数(R 2)で精度を評価した結果,「くにゃ」,「べた」,「しな」,「むち」,「ぷる」など18の食感用語ではR 2は0.8以上と高い推定精度を示した.一方,「ぼろ」,「じゅわ」,「ぎと」,「ふわ」など8の食感用語ではR 2は0.5以下と推定精度が低かった.