日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第71回 (2024)
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[3Aa] フレーバー物質,色素
赤シソ及びその加工品中のアントシアニン色素のLC-MSによる解析
*森山 洋憲下藤 悟
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キーワード: アントシアニン, LC-MS
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p. 194-

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抄録

【目的】赤シソ(Perilla frutescens var. acuta)に含まれている特徴的な赤い色素はアントシアニンであり,食品の嗜好性及び生体調節機能に関与する.赤シソの色素に着目し,嗜好性及び生体調節機能についての基礎的知見を得ることを目的として,生鮮品と加工品に含まれているアントシアニンの組成及び加工品の保存による変化について調べた.

【方法】高知県産の赤シソの生鮮品を入手し,凍結乾燥を行った.シソ乾燥物をギ酸メタノールに浸漬し,粗抽出液を得た.粗抽出液を合成吸着剤に吸着させてから溶出後,乾固によって粗色素を得た.粗色素に含まれているアントシアニンの解析にはLC-MS装置を用いた.同じ産地の赤シソを用いて製造された加工品を入手した.この赤シソ加工品を10℃から55℃までの範囲の温度条件下で保存した.保存前後の加工品のアントシアニンについてはLC-MS装置,液色についてはビジュアルアナライザーを用いてそれぞれ解析した.

【結果】赤シソからの粗色素をLC-MS装置で解析したところ,マロニルシソニン,シソニン他の7種類のアントシアニンを推定化合物として検出した.赤シソ加工品からも同種のアントシアニンを確認できた.粗色素と加工品のアントシアニン組成を比較したところ,結合した有機酸の種類によって組成比が高くなるもの,低くなるものに区分される傾向が見られた.次に保存後の赤シソ加工品の液色を調べたところ,保存温度が高くなるとL*値とa*値は高くなり,b*値は低くなることを確認した.続いて保存品のLC-MS解析結果を見ると,保存温度に対するアントシアニン量の変化は,先述と同様に結合した有機酸の種類によって傾向が異なっていた.加工や保存における赤シソ色素の安定性はアントシアニンの構造によって傾向が異なることが示唆された.

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