日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第71回 (2024)
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[3Bp] その他の成分、感性評価、官能評価
苦味質の機器分析による推定
*山木 伽穂田村 仁伊藤 友彦Robin Dando村上 裕介
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p. 224-

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抄録

【目的】苦味は他の味質と組合せることで食品の深みや複雑さを増す効果がある.ただその量や質は適切でなければ食味としての調和を失うため,食品毎に最適な苦味質を把握する必要があるが,我々の知る限り苦味質を官能評価にて区別した例はない.そこで本研究では苦味の評価系を確立して苦味質を区別することを目的とし,更に機器分析による推定へ置き換えた,より簡便な苦味質探索手法の確立を目指した.【方法】試料には9品の苦味料および苦味素材を用いた.まず,試料の官能特性値を収集した.苦味の主観的等価値濃度を二点識別法により見出し,その濃度に調製した試料をQuantitative Descriptive Analysis(QDA)法とTime Intensity(TI)法にて評価し,25項目の特性値を得た.つぎに,理化学的特性を収集した.各試料を味覚センサー,核磁気共鳴装置,近赤外分析装置,Gas Chromatography-Mass spectrometry(GC-MS),Direct Analysis in Real Time(DART)-MSにより分析し,約4000項目の機器分析値を得た.最後に官能特性値を目的変数,機器分析値を説明変数としてPartial Least Squares(PLS)回帰分析を行い,苦味質予測式を作成した.【結果】官能評価の結果,14項目の特性値について有意差が得られ(p < 0.05),苦味質を詳細に区別できた.PLS回帰分析の結果,いずれの特性値についても高精度の予測式が得られ(累積R^2 ≧ 0.8764),理化学的分析により苦味質を探索する手法を確立することができた.予測式作成には,複数の機器分析値の組み合わせが有効であった.苦味には多様な成分の寄与が考えられるため,各分析法がそれぞれの特性を幅広く補い合ったことで,高精度な予測式が得られたと考えられる.

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