日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第71回 (2024)
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[3Ca] 食品分析
光照射による発酵乳の風味劣化に関わる検討
*杉木 恵里近藤 裕美斎藤 瑞恵
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p. 238-

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抄録

【目的】乳に光照射すると,乳中のタンパク質や脂質が酸化し「光劣化臭」とよばれる異臭を呈することが知られる.店舗に陳列される牛乳や発酵乳は光劣化臭の発生が懸念されるが,特に発酵乳で問題となりやすい.本研究では発酵乳の光劣化臭低減や効果的な製品設計に寄与することを目的に,光劣化因子と光劣化臭成分の量的関係性をモデル試験により明らかにした.さらに,発酵乳を用いて光劣化臭の発生に影響する因子の予測式を検討した.

【方法】pH,ビタミンB2,メチオニン,光照度,光照射期間を光劣化因子として検討した.メチオニンおよびビタミンB2を超純水に溶解し,発酵乳新鮮物を模倣した水溶液を作成した.これを20 mL容透明ガラスバイアルに10 mL分注し,シリコンおよびPTFEセプタム付きスクリューキャップで密閉した.10 ℃下,一定の照度で光照射した.これをヘッドスペース-SPME法で捕集し,GC-MSにより光劣化臭成分(メチオナール,ジメチルジスルフィド,ジメチルトリスルフィド)を定量分析した.光劣化臭成分とpH,ビタミンB2濃度,メチオニン濃度,光照度,光照射期間の量的関係を検討した.さらに発酵乳にメチオニンを添加し,メチオニン濃度,光照度および光照射期間と光劣化臭成分の量的関係を検証した。

【結果】光照度,光照射期間,メチオニン,ビタミンB2が増加するに伴い光劣化臭成分が増加した.また,中性溶液と酸性溶液で光劣化臭成分の構成比は異なった.酸性で,メチオナールがさらに酸化したジメチルジスルフィドがより増加した.中性よりも酸性で光劣化速度が速いと推察された.したがって,pH,光照度,光照射期間,メチオニン量、ビタミンB2の制御により光劣化臭を抑制できると考えられた.これらの制御量はアレニウスの式を利用しシミュレーション可能であることが示唆された.

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