主催: 公益社団法人 日本食品科学工学会
会議名: 日本食品科学工学会第71回大会
回次: 71
開催地: 名城大学
開催日: 2024/08/29 - 2024/08/31
p. 25-
【目的】近年,少量炊飯の需要や安全性などの問題から電子レンジによる炊飯が見直され,安価な専用炊飯器も普及している.電子レンジを用いて炊飯(レンジ炊飯)すると加熱方法が異なることから食味や食感が炊飯器とはやや異なる米飯になると推察される。そこで本研究では昇温速度と加水量に着目して米飯の物理化学的特性を炊飯ジャーによる炊飯(炊飯器炊飯)と比較検討した.
【方法】コメは令和4年度兵庫県産ヒノヒカリ玄米を前日もしくは当日に精米して用いた.炊飯は,電子レンジ専用プラスチック製炊飯容器(2合炊き)と電気炊飯器(3合炊き)を用いた。精米200gについて,加水量はレンジ炊飯が米重量の1.7倍,炊飯器炊飯は米重量の1.5倍とした.レンジ炊飯は500Wで11分加熱、炊飯器炊飯は炊飯後に10分蒸らした.さらに、炊飯器炊飯においてレンジ炊飯と同じ昇温速度になるように炊飯した試料や加水量を1.7倍にした試料も調製した.測定項目は80%(または50%)エタノール抽出による還元糖(ソモギーネルソン法),グルコース量(グルコースオキシダーゼ法)とクリープメーター(山電, RE-3305B)によるテクスチャー測定(一粒法)とした.
【結果】炊飯器炊飯は80%エタノール‧50%エタノール抽出ともに還元糖‧グルコース量ともにレンジ炊飯に比して有意に多くなった.昇温速度を速くすると還元糖量は有意に減少したことから,昇温速度が還元糖生成量に影響していると推察された.グルコース量も同様で,80%エタノール抽出の場合,炊飯器炊飯による米飯のグルコース量(6.5±0.69㎎/生米100g)がレンジ炊飯(4.4±0.30㎎/生米100g)よりも有意に多く,昇温速度が速いと炊飯器炊飯でも少なくなった.テクスチャー特性は,かたさに関しては加水量が,付着性に関しては昇温速度が影響しているのではないかと推察された.