日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第71回 (2024)
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[2Ap] 栄養成分(タンパク質,炭水化物,脂質,ビタミン,ミネラル)
発芽キヌアChenopodium Quinoaのアミラーゼの精製および性状
*菊池 萌伽風見 真千子野口 治子谷口(山田) 亜樹子
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p. 26-

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抄録

【目的】キヌアChenopodium Quinoa発芽種子アミラーゼの分離,精製を行い,主要な発芽種子アミラーゼの性状を明らかにすることを目的とした.キヌアの発芽過程におけるデンプン生成物の様相を確認し,アミラーゼの特性を調べ,キヌアの利用法について検討した.【方法】試料は,ボリビアのウユニ塩湖近隣の高地で栽培されたロイヤルキヌア(DM三井製糖株式会社)の種子を使用した.暗所20℃で,7日間発芽させたキヌア種子10gに20倍容の0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)を加えて,ヒスコトロンでホモゲナイズ(3分間,氷水中)し,組織を摩砕後,4℃で1時間撹拌し,抽出液を調製した.抽出液を硫安塩析(80%飽和)し,沈殿画分を溶解,透析して粗酵素液とした. DEAE-Sepharoseクロマトグラフィーを行い,0.7M塩化ナトリウム溶液によるグラジェント勾配法により溶出し,精製を行い,アミラーゼ活性およびUV法によりタンパク質量を測定した.α-アミラーゼ活性はBlue-Value法,β-アミラーゼ活性は Somogyi-Nelson法を用いた.最適温度(30~60℃)および最適pH(pH5.0~8.0)を測定し,アミラーゼに対する各種試薬の影響について調べた.【結果】キヌア発芽種子のアミラーゼをDEAE-Sepharoseにより精製したところ,アミラーゼ活性は主に3つのピークが得られた.各ピークにおけるアミラーゼの最適温度は,Ⅰ,Ⅱ,Ⅲともに40℃で最も高い活性を示した.最適pHはⅠでは6.0,Ⅱでは7.0,Ⅲでは6.0で最も高い活性を示した.Ⅰ,Ⅱ,Ⅲともに HgCl₂,PCMB,ヨード酢酸により活性が阻害されたことから,活性発現にSH基が関与することが推察された.※試料を提供してくださったDM三井製糖株式会社様のご協力に感謝申し上げます.

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