主催: 公益社団法人 日本食品科学工学会
会議名: 日本食品科学工学会第71回大会
回次: 71
開催地: 名城大学
開催日: 2024/08/29 - 2024/08/31
p. 255-
【目的】近年,食料・環境問題や動物愛護への意識の高まりやアレルギーやヴィーガンの人に対する食の多様化などの観点から,プラントベースフードの需要が高まっている.プラントベースフードはターゲットとした動物性食品と比較して,「おいしさ」に差異が存在しているのが現状である.中でもおいしい食感に差異がある.プラントベースフードのおいしさの差異を埋める方法論として,動物性食品「らしい」おいしい食感の再現がある.このおいしい食感は,オノマトペ等の感性食感として表現される.動物性食品の一例にスクランブルエッグがある.スクランブルエッグとは,鶏卵に牛乳や生クリームを加え半熟になるまで炒めた料理である.そのため,半熟感を示す「とろとろ」や「ふわふわ」といった感性食感が多く用いられている.しかし,これらの食感がどのようなものか明らかではない.そこで本研究は,官能評価・物性測定・構造観察より,スクランブルエッグのおいしい食感の見える化を目的とした.更に,動物性と植物性の食感の差を明らかとすることを目的とした.【方法】市販の動物性4種類(A,B,C,D)と植物性2種類(E,F)を解析した.官能評価では,CATA法と順位法を行った.物性測定では,クリープメーターとレオメーターを用いて行った.構造観察では,顕微鏡を用いた. 【結果】官能評価(CATA法)の結果,「かたさ」「粘性」の違いから4つの食感グループ(ぷりぷり・とろとろ・ほろほろ・ねっとり)に分類された.特に「ぷりぷり」は,「かたく」「粘性が低い」性質であることが分かった.物性測定の結果,粘度と官能評価の「粘性」の間に相関が,荷重と「かたさ」に相関傾向が見られた.また,スクランブルエッグのおいしい食感について,構造観察の結果も踏まえ報告する.さらに,プラントベースをよりスクランブルエッグらしい食感にするための物性・構造の特徴を考察する.