日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第71回 (2024)
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[3Ea] 血糖調節、認知機能
アディポネクチン受容体アゴニストペプチドTyr-Proの長期経口摂取による糖尿病予防作用
*中村 紗彩浅羽 純玲松井 利郎
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p. 268-

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抄録

【目的】当研究室ではこれまでにTyr-Pro(YP)を食品成分由来の新規アディポネクチン受容体(AdipoR1)アゴニストとして見出し,インスリン非依存的な糖取り込み作用を明らかにしてきた.本研究ではⅡ型糖尿病自然発症モデル(SDT)ラットを用いてYPの長期投与試験によるin vivoでの糖尿病予防作用評価を行った.

【方法】16週齢雄性SDTラットをControl群,YP群,PY群(各1 mg/kg/day)に分け,13週間の経口投与を行った.この間,体重,摂食量,空腹時血糖値(BGL)の測定および耐糖能試験(OGTT,2 g Glc/kg)を実施した。29週齢で屠殺後,血漿および臓器を得た.

【結果】Control群およびPY群において,19週齢以降に糖尿病発症の指標となる体重減少ならびに過食が確認されたが,YP群ではこれら変化は認められなかった.またControl群においては,23週齢以降で空腹時BGLの明らかな上昇(29週齢:142 ± 13 mg/dL)が認められたが,YP群は正常域(82-99 mg/dL)で推移し,糖尿病発症を前症期から予防する作用があることが初めて示された.また,22週齢のOGTTではYP群でのみ明らかな耐糖能異常の改善が認められた(AUC0-2 h : Control, 754 ± 50 mg·h /dL; PY, 757 ± 32 mg·h /dL; YP, 545 ± 18 mg·h/dL,p<0.05).なお,投与試験終了後, YP群ではヒラメ筋においてAdipoR1およびp-AMPK/AMPKの有意な発現増強を示したことから,YPはin vivoにおいてもAdipoR1/AMPKを介して糖尿病予防作用を発現している可能性が示唆された.以上より,新規AdipoR1アゴニストYPはin vivoにおいても糖尿病発症を予防することが明らかとなり,発症前段階からのペプチド摂取の有用性が初めて示された.

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© 2024 公益社団法人 日本食品科学工学会
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