主催: 公益社団法人 日本食品科学工学会
会議名: 日本食品科学工学会第71回大会
回次: 71
開催地: 名城大学
開催日: 2024/08/29 - 2024/08/31
p. 269-
【目的】血糖値の上昇抑制作用をもつDipeptidyl Peptidase (DPP)-Ⅳ阻害剤の中でも,食品タンパク質由来のDPP-Ⅳ阻害ペプチドは,その高い有効性と安全性から多くの注目を集めている.本研究では,タンパク質を豊富に含有する食用微細藻類に着目し,これらを食品加工用のプロテアーゼにより加水分解し,DPP-Ⅳ阻害ペプチドの探索を行い,健康機能性素材として活用することを目的とした.
【方法】微細藻類の乾燥粉末をミリQ水に懸濁し,凍結融解および超音波処理を施した後,硫安沈殿によりタンパク質を回収した.このタンパク質抽出液に対して,4種の食品加工用プロテアーゼを用いて,単独あるいは2種のプロテアーゼを組み合わせて加水分解した.得られた10種の加水分解物について,DPP-IV Inhibitor Screening Assay Kit(Cayman Chemical社)を用いてDPP-Ⅳ阻害活性を測定した.さらに,DPP-Ⅳ阻害活性が最も高かった加水分解物について,限外ろ過フィルターにより3 kDa未満のペプチドを回収し,分取HPLCに供した.得られた各画分についてDPP-Ⅳ阻害活性を測定した.
【結果】食用微細藻類由来タンパク質の10種類の加水分解物のうち,最も高いDPP-Ⅳ阻害活性を示した分解物を用いて,限外ろ過フィルターによる分離と分取HPLCによる分画を行った後,得られた画分についてDPP-Ⅳ阻害活性を測定した.その結果,複数の画分において,高いDPP-Ⅳ阻害活性が見られた.このことから,食用微細藻類由来タンパク質の加水分解物の中に,複数のDPP-Ⅳ阻害ペプチドが生成している可能性が示唆された.