【目的】ピーマンCapsicum annuum はトウガラシ属の栽培品種の作物で、高知県産ピーマンは、主に冬春(11-4月)時期に生産される。本研究は、主要な高知県産ピーマンの品種「みおぎ」の水耕および土耕栽培のピーマンを試料とし、加熱調理後の栄養成分、食味について分析して、栽培法の違いによる食品成分の特性を明らかにし、さらに栽培法にあった調理方法を提案することを目的とした。ピーマンの有用性を明確にし、ピーマンの需要拡大を図り、生産地域の振興に貢献したいと考えた。【方法】試料のピーマンは、2022年に高知県で栽培された品種みおぎ「水耕」「土耕」の2種を用いた。食品の成分は糖量、タンパク質量、ビタミンC量、ミネラル量、ポリフェノール量について測定した。味覚分析は、電子味覚システムα-ASTREE(Alpha M.O.S Japan、以下ASTREE)を用いて測定した。【結果】栽培法の異なる2種類のピーマンの成分分析を行った結果、糖量、タンパク質量ともに「土耕」の方が高く、ビタミンCは「水耕」の方が高かった。ポリフェノール量は生では「土耕」の方が高かったが、茹でると「水耕」の方が多くなった。ASTREEによりピーマンの茹で処理前後の呈味成分の分析を行った結果、土耕および水耕の生と茹でに有意な相違が認められ、特徴的な呈味を有していた。土耕は旨味があり、水耕は弱い苦味があった。茹でることで、土耕および水耕ともに、甘味方向に大きく移動し、甘味が増加することが確認できた。土耕は茹でることで酸味が増し、水耕は茹でることで酸味が減少した。土耕と水耕の生育環境のミネラルの違いが考えられた。※本研究は、高知県Next次世代型施設園芸農業推進事業(IoPプロジェクト研究推進部会)の助成により実施しています。心から感謝申し上げます。