主催: 公益社団法人 日本食品科学工学会
会議名: 日本食品科学工学会第71回大会
回次: 71
開催地: 名城大学
開催日: 2024/08/29 - 2024/08/31
p. 278-
【目的】α-シクロデキストリン(α-CD)は6つのグルコースが環状に連なった構造を持つ食物繊維の一種である. α-CDは穴の開いたバケツのような構造をしており, その内側が疎水性, 外側が親水性というユニークな構造をしており, 自身の内側に疎水性のゲストを取り込む包接作用を有することが特徴である. その包接作用により, ゲストの水溶性や安定性の改善を示すことから,これまでに賦形剤として多く利用されてきた. 一方でα-CDはヒトの消化酵素では消化できない難消化性の性質を持つが, 腸内細菌によって資化される発酵性を有している. 最近の研究では, α-CDは側鎖などを持たないこと, さらにグルコースのみで構成されている単一分子であることから, 腸内細菌に効率よく資化され, 短鎖脂肪酸を多く産生することが分かってきた. そのため、α-CDはプレバイオティクスとしての作用が期待されるが, その研究は不十分である. そこで本研究ではα-CDのプレバイオティクス作用について検討した.【方法】高脂肪食誘導性肥満マウスにα-CD含む高脂肪食を16週間給餌し, 体重の変化, 脂肪蓄積量, 腸内の短鎖脂肪酸量及び腸内細菌叢を分析した. また正常ラットに, α-CD含む餌を8週間給餌し, カルシウム吸収率, 大腿骨強度および盲腸内容物から腐敗産物, ムチン, IgA量, 短さ脂肪酸量及び腸内細菌叢を分析した.【結果】高脂肪食摂取下におけるα-CDの摂取は腸内細菌叢の改善や短鎖脂肪酸の増加を示し, 体重増加や精巣周囲脂肪の蓄積を低下させた. また通常食摂取下におけるα-CDの摂取は, 腸内細菌叢の改善や短鎖脂肪酸の増加を示し, 骨強度の増加, 腸内腐敗産物量の低下, ムチン及びIgA量の増加を示した. 以上の結果より, α-CDは様々なプレバイオティクス作用を有することが示された.