日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第71回 (2024)
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[3Ep] 整腸作用、脂質調節、コレステロール調節
りんご紅の夢の膵リパーゼ阻害成分と脂質低下作用に関する研究
*相澤 省太林田 大志岩井 邦久
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p. 282-

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抄録

【目的】

膵リパーゼ阻害は食事由来の過剰な脂質の吸収を減少させ,脂質低下や肥満予防が期待できる.りんごのプロシアニジンには膵リパーゼ阻害活性が認められているが,我々は,プロシアニジンの少ないりんご紅の夢に膵リパーゼ阻害活性を見出し,その活性成分がケルセチン3-ガラクトシド (Q3Gal) であることを特定した.そこで,本研究では紅の夢の生理機能を明らかにする目的で,高脂肪食マウスの脂肪蓄積に及ぼす作用を検討した.

【方法】

HPLCを用いて紅の夢およびふじのQ3Gal濃度を定量した.また,AIN-93G組成の正常食 (N群),正常食にラードを20%添加した高脂肪食 (C群),高脂肪食にQ3Galを添加したQ3Gal食 (Q群),高脂肪食に紅の夢抽出物を添加した紅の夢食 (K群),高脂肪食にふじ果肉抽出物を添加したふじ食 (F群) を調製し,7週齢の雄性KKマウスに6週間摂取させた.定期的に採血し,6週間後に脂質経口負荷試験を行った.体重,摂食量,血漿中トリグリセリド (TG) 濃度および脂肪組織重量を測定した.

【結果】

りんごのプロシアニジン濃度はふじが紅の夢より高いが,Q3Gal濃度は紅の夢が高くなった.C群の血漿中TG濃度はN群より有意に高まったのに対し,Q群およびK群はC群より有意に低い濃度で推移した.脂質経口負荷試験では,Q群およびK群の血漿中TG濃度がC群より有意に低いレベルで推移した.脂肪組織重量もC群がN群より有意に増加したが,Q群およびK群はC群より有意に低下した.一方,F群ではこれらの影響は顕著ではなかった.紅の夢のプロシアニジン濃度がふじより低いにも関わらず効果を示したことから,TG濃度等の低下はQ3Galの膵リパーゼ阻害活性に起因すると考えられる.以上より,紅の夢は脂質の吸収を抑制し体内の脂質を低下させることが示唆された.

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