日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第71回 (2024)
会議情報

[3Ep] 整腸作用、脂質調節、コレステロール調節
ペプチド吸着担体を利用した食品由来膵リパーゼ阻害ペプチドの探索
*石井 悠介松永 裕太秋山 裕和清水 一憲本多 裕之
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 283-

詳細
抄録

【目的】世界の肥満の有病率は約30年で2倍以上になっており,予防,治療の需要が高まっている.肥満予防,治療のアプローチの一つとして,脂質を分解する酵素である膵リパーゼの阻害が挙げられる.強力な膵リパーゼ阻害薬であるOrlistatは広く普及しているが,強い副作用が報告されている.その一方で,緩やかな効果が得られ長期的に服用しやすい健康食品や機能性表示食品にも需要がある.食品タンパク質由来の膵リパーゼ阻害ペプチドも報告があり注目されている.本研究では,ペプチド吸着担体を利用して膵リパーゼ阻害ペプチドを濃縮分離し,配列を特定したので報告する.

【方法】本研究では,食品タンパク質(カゼイン,大豆,米胚乳)をペプシンにより加水分解した.その後,我々の研究室が開発した塩基性疎水性ペプチドを吸着する焼成多孔性シリカゲルを用いて吸脱着処理を行った.最も阻害活性の高かった大豆タンパク質加水分解物について,質量分析によりサンプルに含まれるペプチドを同定した.このうち一定の含有量がある10配列を合成し,胆汁酸塩であるタウロコール酸ナトリウム(TCA)を添加した条件で阻害活性を評価した.

【結果】食品タンパク質加水分解物の膵リパーゼ阻害活性を比較した結果,大豆の活性が最も高かった.また,焼成多孔性シリカゲルによる吸脱着処理により,3種類すべての加水分解物の阻害活性が上昇した.合成した10配列のリパーゼ阻害活性をTCA 0mM,1mMで評価した. GRIRVLQRFとLLQRFNKRSPQLの2種類で,それぞれ18.4%(0mM)および56.7%(1mM),86.2%(0mM)および95.0%(1mM)の阻害活性を示した.酵素を直接阻害するOrlistatの阻害率は,79.7%(0mM),38.1%(1mM)であることから,特定したペプチドは胆汁酸存在下でリパーゼ活性を強く阻害できることがわかった.

著者関連情報
© 2024 公益社団法人 日本食品科学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top