日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第71回 (2024)
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[3Ep] 整腸作用、脂質調節、コレステロール調節
ラットの脂質代謝に対する食事由来酸化植物ステロールの影響
*小山 智成小原 唯長田 恭一
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p. 285-

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抄録

【目的】植物ステロール(PS)は,血漿コレステロール低下作用を発揮するが,その酸化物である酸化植物ステロール(OPS)の生体に与える影響については未知な点が多い.本研究では,食事由来OPSの脂質代謝に及ぼす影響を検討することを目的とした.

【方法】4週齢のWistar系雄性ラットにAIN76純化基準飼料を与えた群をC群,基準食に植物ステロールを0.5%添加した飼料を与えた群をP群,基準食にOPS混合物を0.5%添加した飼料を与えた群をO群として1週間飼育した.飼育後,血液と肝臓を採取し,脂質代謝に関わる種々のパラメータを解析した.

【結果】体重増加量及び総白色脂肪組織重量は,C群とP群は同レベルであったが,O群は有意に低くなった.血漿トリグリセリド(TG)レベルには変化はなかった.血漿総コレステロール(TC)レベルは,C群とP群は同レベルであったが,O群は有意に低くなった.肝臓TGレベルは,C群とP群は同レベルであったが,O群は有意に低くなった.肝臓TCレベルは,C群と比べてP群とO群は有意に低くなった.肝臓のアラキドン酸(20:4 n-6)の割合は,C群とP群は同レベルであったが,O群は有意に高くなった.また,肝臓のD6不飽和化指数は,C群とP群は同レベルであったが,O群は有意に高くなった.肝臓のFADS1及びFADS2遺伝子発現レベルは,C群とP群は同レベルであったが,O群は有意に高くなった.肝臓のCYP27A1の遺伝子発現レベルは, C群とP群は同レベルであったが,O群は有意に高くなった.肝臓のHMGCRのタンパク質発現レベルは,C群とP群は同レベルであったが,O群は有意に低くなった.以上のことから, コレステロール代謝とリノール酸代謝に対して,OPSはPSと異なる影響を示すことが明らかとなった.

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