日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第71回 (2024)
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[3Ep] 整腸作用、脂質調節、コレステロール調節
小豆ポリフェノールによるコレステロール吸収抑制作用に関する研究
*小林 映里奈栗谷 健志後藤 沙耶佳西尾 昌洋中村 昌弘梅川 逸人
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p. 284-

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抄録

【目的】小豆は日本人になじみの深い食材として親しまれ,ビタミン類,食物繊維,ミネラル,ポリフェノールが豊富に含まれていることが知られている.これまでに,小豆抽出物は血中コレステロール濃度を低下させることが報告されているが,その活性成分に関しては不明な点が多い.本研究は,小豆の機能性成分を解明するため,小豆に含まれる主要なポリフェノールである (+)-catechin 7-O-β-D-glucopyranoside (C7G) および (+)-epicatechin 7-O-β-D-glucopyranoside (E7G) に着目し,コレステロール吸収抑制作用を明らかにすることを目的とした.

【方法】小豆を40%エタノール中で24時間振盪し,その上清を凍結乾燥したものを小豆抽出物として用いた.C7GおよびE7Gは,HPLCを用いて単離したものを試料として用いた.各試料のコレステロール吸収の前段階に対する影響は,胆汁酸ミセル溶解阻害試験および胆汁酸結合試験にて検討した.また,腸管細胞におけるコレステロール吸収に対する影響は,ヒト結腸癌由来細胞株 Caco-2を用いたコレステロール取り込み量測定試験にて検討した.

【結果】小豆抽出物,C7GおよびE7Gは胆汁酸に対する結合活性を示し,いずれも濃度依存的にミセル溶解阻害作用を示した.このことから,小豆成分はコレステロールのミセルへの可溶化を阻害することで不撹拌水層通過を妨げ,間接的にコレステロールの吸収を抑制する可能性が示唆された.Caco-2細胞を用いた試験においても,各試料は細胞へのコレステロール吸収を有意に抑制した.また,これらの作用についてC7G,E7G間の顕著な違いはみられなかった.以上のことから,小豆ポリフェノールであるC7G,E7Gは小豆中のコレステロール吸収抑制作用を示す成分の1つである可能性が示唆された.

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