日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第71回 (2024)
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[3Fp] その他食品機能
Change-point Regression Modelsを用いた機能性食品の効果解析
*西川 功征速水 耕介吉田 直峻朝比奈 佑希石川 大仁瀧本 陽介篠原 裕枝中野 真宏
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p. 299-

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抄録

【目的】

機能性食品の介入研究では,研究対象者は健康な人から病気との境界域者まで幅広い状態の者を含むことが多い.このような集団に対しては,食品の介入効果は一定ではなく,健康な人における有効性が境界域者よりも小さくなる傾向がある.この不均一性に対して,Change-point Regression Models(CPRM)が提案されている.CPRMは,介入群の効果が出現する変化点をモデルに組み込み,改善効果の解析を行う.しかし,従来のCPRMでは予防効果に対する有用性は検証されていない.本研究ではCPRMをハトムギ茶摂取による角層水分量を調べた研究データ(日本食品科学工学会 第68回大会にて発表)に適用しCPRMを用いた予防効果の解析について検証した.

【方法】

研究対象者の角層水分量の減少について,pre値がpost値に効果を及ぼしているか,以下のCPRMのモデル式を用いて検証を行った.

yi = α + β1xi + β2 I(xi > xcp)(xi - xcp)(1 - gi) + εi

ここで,xii番目の研究対象者のpre値,yiはpost値,giは群情報(ハトムギ茶群 = 1,プラセボ群 = 0),

xcpは変化点である.I(·)は指示関数であり,xi > xcpが真の場合は1をとり,それ以外の場合は0をとる.

【結果】

CPRMの結果,角層水分量のpre値が24.8 (a.u.)に変化点があり,変化点以上の値の場合,ハトムギ茶群で角層水分量の減少がプラセボ群に比べて,有意に抑えられており,pre値がハトムギ茶の介入効果に影響を及ぼしていた.角層水分量のpre値がある一定値以下であるとそれ以上水分量が減少しにくいためこのような変化点が現れたと考えられる.CPRMはpre値以外の年齢などにも適用可能であり,機能性食品の介入研究の解析に有用であることが期待される.

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© 2024 公益社団法人 日本食品科学工学会
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