日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第71回 (2024)
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[3Ia] 畜産物、乳製品
中性子小角散乱法を利用したカゼインミセル構造の研究
*高木 秀彰中野 智木青木 孝良谷本 守正
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p. 346-

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抄録

【目的】牛乳の主成分であるカゼインタンパク質が作るカゼインミセル構造は現代でも未解明である。近年では放射光X線や中性子といった量子ビームを利用した小角散乱法を利用してカゼインミセル構造の研究が行われている。我々の研究グループは放射光X線を利用した小角X線散乱(SAXS)法を使ってカゼインミセル構造の研究を行ってきた。本研究では小角中性子散乱法(SANS)法を利用してカゼインミセル構造の研究を行った。

【方法】試料は脱脂した生乳を凍結乾燥させて粉末状にした。この粉乳に様々な重水/軽水の比率の混合水で戻したものを試料として使用した。SANS実験は原子力科学研究所内のJRR-3に設置されたSANS-Uにて行った。 SANSプロファイルの解析には我々が提唱している水ドメイン内包モデルを使用した。水ドメイン内包モデルは半径約50nmの球状のミセル内に、半径約10nmの孤立した球状の水ドメイン相と半径が約1.5nmのコロイド状リン酸カルシウム(CCP)が粒子間干渉を生じるほど多く存在する構造モデルである。この計算モデルでfittingを行い、構造パラメータを取得した。

【結果】従来のSANSを用いたカゼインミセル研究ではSANSの散乱ピークはQ = 0.05 nm^(-1)とQ = 0.35 nm^(-1)の2つが観察されることが報告されている。水ドメイン内包モデルでfittingしてSANSプロファイルの特徴を詳細に調べたところ、SAXSでのみ観察されていると考えられているQ = 0.15 nm^(-1)がSANSでも観察されていることが分かった。従って、ミセル内部には水ドメインとCCP以外にもう1つ構造が存在していることを示唆している結果が得られた。

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