主催: 公益社団法人 日本食品科学工学会
会議名: 日本食品科学工学会第71回大会
回次: 71
開催地: 名城大学
開催日: 2024/08/29 - 2024/08/31
p. 350-
【目的】
チーズの熟成には酵素や微生物の働きが関与しており,これを制御する因子として,熟成温度はチーズの品質を左右する重要な条件である.熟成温度を高く保つことは,熟成を促進させるのと同時に,劣化要因である苦味やオフフレーバーの発生をもたらす可能性がある.本研究では,ゴーダチーズ熟成に伴い生成される香気成分をグループ分けし,オフフレーバー成分を明らかにした.
【方法】
ゴーダチーズは常法に従い製造,予備乾燥後にフィルム包装し,10~25℃にて6ヶ月間熟成を行った.香気成分は,細断したチーズ片をバイアル瓶に封入し,SPME法にて捕集,GC/MSにより測定した.内部標準にはシクロヘキサノールを使用した.総遊離アミノ酸は,粉砕した試料の水溶性画分を除タンパクし,フィルター濾過清浄後に高速アミノ酸分析計を用いて測定した.
【内容】
ゴーダチーズの熟成中に生成する香気成分を①発酵臭グループ(酢酸,アセトインなど),②短鎖脂肪酸グループ,③加熱臭グループ(ケトン,アルデヒド),④ランシッドグループ(プロピオン酸,酪酸,吉草酸)の4つに分類した.
発酵臭グループは熟成温度,熟成期間にかかわらずほぼ一律に検出され,短鎖脂肪酸グループは総遊離アミノ酸の生成と同様に熟成温度,熟成期間に依拠して増加が認められた.
加熱臭グループは熟成温度25℃において,ランシッドグループは20℃以上において顕著に検出され,通常より高い熟成温度(20,25℃)で加熱臭グループの2-ヘプタノン,2-ノナノンやランシッドグループのプロピオン酸,酪酸,吉草酸がオフフレーバーの原因となることが明らかとなった.