主催: 公益社団法人 日本食品科学工学会
会議名: 日本食品科学工学会第71回大会
回次: 71
開催地: 名城大学
開催日: 2024/08/29 - 2024/08/31
p. 365-
【目的】清酒醸造のもろみ発酵工程は仕上がり(上槽酒)の品質に寄与する.発酵経過に応じて上槽酒の品質を精度よく予測できれば品質向上や技術継承につながる.回帰分析の予測精度を上げる手段としてデータ量の充実がある.そこで上槽酒の品質予測の実用化を目的に,データ件数と説明変数の項目数を変え予測精度の比較検証を行った.
【方法】解析には仕込データ156件(R3酒造年度(BY)55件,R4BY101件)を用いた.予測精度の検証にはR4BYの終わりから11件分を用いた.回帰モデルはR3BYの55件に残りのデータから10件ずつ加えて作成した.説明変数は発酵開始前から発酵20日目までに得られる720項目を5日ごとに分割し用いた.目的変数は上槽酒の品質指標(酸度,アミノ酸度,アルコール濃度,グルコース量,粕の量)とした.回帰分析はランダムフォレストを採用した.予測精度の指標は平均絶対パーセント誤差(MAPE)と自由度調整済み決定係数(adjR2)とした.
【結果】発酵開始前における予測ではR4BYのデータが加わると一時的に予測精度が低下したが,データ件数が増えると予測精度が向上し,70件を超えると予測精度が安定化した.発酵20日目における予測では,酸度とアミノ酸度はR4BYのデータが少ない状態でも予測精度が高くなった.一方でアルコール濃度,グルコース量,粕の量は予測精度が変わらなかった.本解析における予測精度はMAPEが小さい順に,アルコール濃度(MAPE:0.68%, adjR2:0.93),酸度(MAPE:3.03%, adjR2:0.69),粕の量(MAPE:3.42%, adjR2:0.80),アミノ酸度(MAPE:4.81%, adjR2:0.90),グルコース量(MAPE:11.84%, adjR2:0.85)となった.実用化に向けMAPE:1%程度を目指すなど課題を整理できた.