日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第71回 (2024)
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[3Ka] 加工、製造技術
凍結含浸法における食材への物質導入量の比較
*下久 由希柴田 賢哉坂本 みのり宮地 夏奈金﨑 真悠
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p. 385-

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抄録

【目的】演者らは,これまでに食材内に酵素などの高分子物質等を急速導入する方法として凍結含浸法を開発し,さらに導入効率を高める方法として改良法(高温急速含浸法)を開発した.一方,導入物質の量を直接的かつ簡便に評価することは困難で,導入酵素により軟化した食材の硬さで間接的に推定してきた.今回,新しく開発した色素による物質導入量測定法を用い,凍結含浸法及び改良法による食材への物質導入量を比較した.

【方法】実験には2.5cm角に調製した鶏ムネ肉を用いた.凍結含浸法及び改良法により試料にフィコシアニンを導入した後に粉砕し,粉砕試料のろ液の吸光度から色素導入量を調べた.各含浸法で試料にプロテアーゼを導入し,酵素反応後の試料の硬さを測定し,色素導入量と硬さを比較した(実験1).また,試料の加熱履歴(タンパク質の変性度)の影響を評価するため、予め異なる温度(50及び80℃)で加熱した試料に,凍結含浸法によりフィコシアニン及びプロテアーゼをそれぞれ導入し,色素導入量と硬さを比較した(実験2).

【結果】凍結含浸法及び改良法による色素導入量(mg/g)は,0.1,0.3であり,凍結含浸法と比較して改良法の導入量は約3倍であった.一方で,改良法により酵素導入した試料の硬さは,凍結含浸法に比べて約1/5に低減した(実験1).予め異なる温度(50及び80℃)で加熱した試料の色素導入量(mg/g)は0.2,0.05であり80℃で加熱した試料と比べて50℃で加熱した試料の導入量は約4倍だった.一方,50℃で加熱した試料の硬さは80℃で加熱した試料と比べて約1/2に低減した(実験2).酵素軟化による物質導入量の間接的な推定は,試料の加熱履歴(タンパク質の変性度)による酵素分解の受けやすさに影響されると考えられた.以上から,色素による物質導入量測定法により,凍結含浸法による食材への物質導入量を評価できた.

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