日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第71回 (2024)
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[2Fp] その他食品機能
柚子ペクチン側鎖によるタンパク質欠乏マウスの栄養状態と小腸への作用
*増田 凌也伊藤 賢一大野 真貴北口 公司矢部 富雄
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p. 94-

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抄録

【目的】水溶性食物繊維の一種であるペクチンは,直接的な相互作用により小腸絨毛の形態変化を誘導すると報告されているが,その生理的意義は未だ不明である.本研究では,この作用が栄養吸収を促進することで低栄養状態に陥るリスクを軽減するか検証することを目的とし,タンパク質欠乏性の軽度の栄養失調に対するペクチンの効果を評価した.

【方法】栄養吸収の阻害を回避するため,酵素処理で主鎖構造が除去された柚子由来ペクチンの側鎖構造を採用した.これを0.25 mg/mL,2.5 mg/mLの濃度でRO水に溶解し,自由飲水にて雄性C57BL/6マウスに16日間投与した.後半の9日間では,市販飼料から2%カゼイン含有の低タンパク質飼料に切り替えて飼育した.対照群にはRO水と2%または20%カゼイン標準飼料を給餌した.体重,飲水量,摂食量を毎日測定し,解剖によって血清,脾臓,肝臓,小腸を採取して分析した.

【結果】柚子ペクチン側鎖は,タンパク質欠乏による10%以下の体重減少を軽減しなかったが,脾臓重量の減少を抑制した.ただし,血清アルブミン値の低下から柚子ペクチン側鎖による肝臓機能の低下が示唆された.柚子ペクチン側鎖はタンパク質欠乏に起因する肝臓脂質の蓄積を有意に抑制した一方で,トリグリセライドとコレステロールを過剰に蓄積させた.小腸では,柚子ペクチン側鎖が空腸絨毛を伸長し,タンパク質欠乏下での作用が確認された.ただし,これに同期する栄養吸収に関連した遺伝子発現の変化はなかった.一方で,十二指腸の糖の消化に関わるSiと中性アミノ酸の吸収に関わるB0at1の発現量を減少させた.これらの結果を総合して,柚子ペクチン側鎖による小腸絨毛の伸長作用が,低栄養状態へ陥るリスクを軽減するとは結論付けられなかった.また,ペクチンによる絨毛伸長と,ペクチンを介した腸管上皮細胞の食事成分への適応が独立している可能性が示唆された.

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