日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第72回 (2025)
セッションID: 3Ba07
会議情報

[3Ba01-10] 食品物性
食感ビックデータの規模増大による深層学習式食感分析への影響
*杉原 諒, 武政 誠
著者情報
会議録・要旨集 オープンアクセス

詳細
抄録

【目的】おいしさのうち6割以上が食感に由来するといわれている.食感評価は官能試験が主流であり五感を使用した評価が可能である.しかし主観的評価法の欠点として制御不可能な要因で評価結果が変動する.機器分析としての食品圧縮試験では客観的評価が可能であるが,類似食感の食品間でわずかな食感の差を検出することが著しく困難である.ヒトは歯を通じて咀嚼時に多方向にまた,回転方向にも加わる力を知覚しているが食品圧縮試験で通常取得できない.ヒトの咀嚼に近い条件下で取得した食品圧縮試験結果を利用することで食感の特徴をより高感度に捉えられる可能性がある.また深層学習は学習に用いる情報量が増えるほど分類精度が向上する傾向がある.食品圧縮試験結果数増やすことで,食感分析に与える影響について本研究で検証する.

【方法】実験試料 には2種類の煎餅(以後食品A,B)を用いた.圧縮器具には歯型模型を使用し,上歯に加わる直交座標3軸方向の力と各軸まわりのモーメントを,計6軸の時系列情報として取得した.大量圧縮に対応した自動化システムを開発し,食感ビックデータを取得した.ディープラーニングを用いた教師あり学習により食感分析を実施した.

【結果】6軸フォース・トルクセンサで食品A, Bを8000回ずつ(計16000回)圧縮した.その食品圧縮試験結果に基づき食品分類を実施した.1000回ずつ(計2000)ではA-B間の分類確度は0.77, 4000回ずつ(計8000)では0.84となるなど,圧縮試験回数,学習に利用したデータセットサイズが増大するほど,食品分類確度が上昇した.人間の咀嚼状況に近い圧縮により垂直方向以外の水平方向や回転方向に荷重が生じた.また1軸圧縮試験で得られる情報よりも6倍の情報の取得と,歯型の利用によりヒトの知覚に類似した力学特性取得が可能となったと考えられる.食感ビックデータを活かして食品分類の高確度に成功したと考えられる.

著者関連情報
© 2025 公益社団法人 日本食品科学工学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top