日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第72回 (2025)
セッションID: 3Ba10
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[3Ba01-10] 食品物性
咀嚼プロセスシミュレータORAL-MAPS®を用いた“口どけ”評価法の開発
*井上 元幹, 神田 玲奈, 上田 孝俊, 阪田 匡
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抄録

【目的】

食品の「口どけのよさ」は,嗜好性において重要な要素である.口どけは複合的な要因を含むが,力学的には圧縮による構造破壊,体温による融解,唾液による溶解に伴う物性変化といえる.口どけを評価する方法として構造観察や,食品特性に応じて温度または水分の影響を加味した粘度測定,テクスチャー評価が行われているが,口腔処理過程を模して力・温度・水分全ての影響を考慮した汎用的な口どけの機器評価方法は未確立である.そこで,咀嚼プロセスシミュレータORAL-MAPS®(OM)を用いて,新たな口どけ評価法を開発する.

【方法】

口どけが重視される代表的食品としてホイップクリームを対象とした.脂肪分45%のフレッシュクリームから,硬さの指標である針入度を変えた3水準のホイップクリームを作成した.OMの測定条件は,最大圧縮力100N,人工唾液添加流量2mL/min,プランジャー表面温度33.5±0.5℃とし,連続圧縮中の荷重変化に関する5つの指標を算出した.官能評価では,「口どけのよさ」について,基準とする針入度の試料に対する相対評価を9名で行った.OMから得られた指標と官能評価の結果についてスピアマンの順位相関係数を求めた.

【結果】

5つの指標のうち,圧縮毎の荷重最大値が20 Nを切るまでの時間(r =-0.69)と,同10Nを切るまでの時間(r =-0.74)で官能評価結果と有意な相関関係(p <0.05)が認められた.人は,ホイップクリームが口中で液化する過程で口どけを感じる.この液化の過程を,力学特性の時間的な変化に関する指標で捉えることで,官能評価と高い相関を得たと考えられる.本方法は力,温度,水分のいずれが主要な要因となる食品に対しても適用可能であり,ホイップクリームに限らず口どけの評価に利用できる.

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