日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第72回 (2025)
セッションID: 3Ha09
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[3Ha01-10] フレーバー物質、色素
香気成分に注目したコムギの品種開発に向けた分析技術の確立
*伏見 咲紀妻鹿 良亮
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キーワード: パンコムギ, 香気成分, GC-MS
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抄録

【目的】

 パンの味や香りはその美味しさを構成する重要な要素である. 味に影響を与える成分として, アミノ酸や糖類などの水溶性化合物, 香りに影響を与える成分としてアルコール, アルデヒド類などの揮発性有機化合物が知られている. コムギ子実に含まれる, これらの成分あるいはその前駆体の蓄積量を調整することは, 小麦粉の加工製品の高付加価値化につながる. しかし, 香気成分は水溶性成分に比べて分析が難しいため研究の実施例が少なく, それを元にした育種もほとんど行われていない.

 本研究では, これらの香気成分による遺伝的選抜を可能にするために, ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)を用いた香気成分分析方法の確立を目的とし, 実験を行った.

【方法】

 実験には市販のパン用小麦粉4品種(はるゆたか, 春よ恋, キタノカオリ, ミナミノカオリ)を使用した。品種ごとにパン試料を調整し, 発酵生地, クラム, クラストについて香気成分分析を実施した。分析は固相マイクロ抽出(SPME)法を用いたGC-MSにより行い, 得られたクロマトグラムデータのピーク面積値を用いて主成分分析およびヒートマップによるクラスタリング解析も実施した.

【結果】

 GC-MS分析により得られたパンの香気成分プロファイルによると, パン内部のクラムおよび外部のクラストからはアルコール類, アルデヒド類, エステル類, テルペン類に加え, フラン類, フラノン類やピラジン類などの加熱香気成分が多く検出された. 主成分分析のスコアプロットおよびヒートマップによるクラスタリング解析では, 発酵生地, クラム, クラストの全てにおいて, ミナミノカオリとその他3品種の間に顕著な分離が見られた. このことから, ミナミノカオリには他の3品種にはない特有の香気成分の存在が示唆された. 特に, セスキテルペン類及びその誘導体はミナミノカオリで顕著に高含有量を示し, これらの化合物が品種間の差異に影響していることが示された.

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