日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第72回 (2025)
セッションID: 3Ha08
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[3Ha01-10] フレーバー物質、色素
柑橘由来含硫成分の果汁感増強効果
*川島 大輝松永 純樋口 可南子馬場 良子熊沢 賢二
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抄録

【目的】飲料や加工食品に利用される柑橘果汁は,重要な食品素材のひとつである.しかし,柑橘果汁は安定確保が困難になりつつあり,果汁含量を低減した場合でも,飲料や加工食品のおいしさを保つことは,香料の重要な役割のひとつである.一般に,含硫香気成分は極微量で飲食品の風味を特徴づけることが多い.また,その香調からは予想し難い効果を呈することも我々は明らかにしている1.本発表では,複数の柑橘精油に含まれる事を見出した含硫香気成分とその果汁感増強効果を報告する.

【方法】柑橘精油の含硫香気成分は,銀を担持した固相カラムで分画し, GC-MSにて成分同定した.同定した成分のオレンジ果汁飲料における果汁感増強効果は,QDA法と恒常法による主観的等価点の計測にて確認した.

【結果】柑橘精油より得た含硫香気成分画分には,2-(5-isopropyl-2-methyltetrahydrothiophen-2-yl)ethanolと2-(5-isopropyl-2-methyltetrahydrothiophen-2-yl)ethyl acetateが複数の精油に共通して含まれていた.これら2成分は柑橘を想起し難いユニークな香調ながら,レモン風味飲料の果実感を高める効果を既に認めている2.そこで,これら2成分の果汁感増強効果を期待し,オレンジ果汁飲料にて添加効果を確認したところ,様々な風味とともに果汁感も強まった.さらに,果汁感の主観的等価点を20%オレンジ果汁飲料を基準として求めた結果,これらの混合物に3.8%相当の果汁代替効果を認めた.以上の結果は,柑橘精油に含まれる含硫香気成分が,オレンジ果汁の風味を強め,その代替に有用な香料素材となり得ることを示している.

1)馬場ら 食科工誌 67(4)134-140 (2020)

2)下川 第33回清涼飲料研究会 講演集 64-69 (2024)

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