主催: 公益社団法人 日本食品科学工学会
会議名: 日本食品科学工学会第72回大会
回次: 72
開催地: 日本大学生物資源科学部 湘南キャンパス
開催日: 2025/08/27 - 2025/08/29
【目的】キムチは韓国を代表する発酵食品であり,乳酸菌が主体的に関与する.乳酸菌はキムチの発酵過程で風味やコクの形成に重要な役割を果たす.しかし,自然発酵により作製するキムチは,原材料や工場由来の微生物群による,品質への影響が問題となる場合がある.そこで,品質の安定および日本人好みの風味を目指し,キムチの副原料であるヤンニョムへ乳酸菌を添加することで発酵制御を試みた.
【方法】本研究室で分離,選抜した,Latilactobacillus sakei AK1,Levilactobacillus brevis AK3,Enterococcus haemoperoxidus AK2,Lactiplantibacillus pentosus IN1をヤンニョムに添加し乳酸菌生育試験を行った.初日から0,1,3日目および1,2週目に生菌数,pH ,有機酸濃度の測定を行い,ヤンニョム環境下での4菌種の発酵能を評価した.次にヤンニョム原料の抗菌作用を調査し,抗菌性の高い原材料を除いた上述と同一の試験を行った.
【結果】ヤンニョムを用いた乳酸菌生育試験では,発酵初日から乳酸菌死滅による発酵不良が観察された.この要因として,ヤンニョムの原材料に乳酸菌の生育を阻害する成分が含まれることが推定された.先行研究に基づき乳酸菌に対し抗菌性を有す副原料を除外したヤンニョムの作製を行った.作製したヤンニョムを使用して乳酸菌生育試験を行ったところ,4菌株それぞれを添加したすべてのサンプルにおいて,発酵3日目から菌数増加,pH低下が見られ,乳酸菌の良好な生育が観察された.以上の工程で,乳酸菌をあらかじめヤンニョムに生育させることで,キムチ作製初期段階から乳酸菌による発酵を経たキムチが作製できた.発酵を短期化することで品質の安定化が期待される.