日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第72回 (2025)
セッションID: 3Bp03
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[3Bp01-09] 加工,製造技術
NaCl添加が卵白タンパク質の乾熱変性挙動に及ぼす影響
*寳耒 美里, 小山 翔大, 大久保 敦史, 市川 愛, 児玉 大介, 半田 明弘, 辻井 良政
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キーワード: 卵白, 乾熱処理, NaCl, ゲル, 変性
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抄録

【目的】乾燥卵白は,卵白粉末を乾熱処理(60~80℃,3日~3週間程度)することで製造される.長期間乾熱処理した乾燥卵白は,水戻しして調製した加熱ゲルの硬さおよび弾力が顕著に向上するため,食品の物性改良剤として重用されている.卵白タンパク質は乾熱処理により,表面疎水性の増加や可溶性凝集体(SPA)形成(乾熱変性) を引き起こす.しかし,乾熱処理は長期間高温状態を維持する必要があり環境負荷が大きいため,短期間化が求められる.そこで,水系でのタンパク質の熱変性・凝集に影響を与えるNaClに着目し,卵白タンパク質の乾熱変性挙動に及ぼす影響を検証した.

【方法】未乾熱処理卵白を水に溶かし,NaCl を食品成分表に記載の0.65 mmol/g タンパク質(1倍量)を基準に,終濃度2, 4倍量となるよう溶解し,pH 7.0に調整後,凍結乾燥し,乾熱処理(120℃;2, 4時間)した.各サンプルをタンパク質濃度100 mg/mLで加熱(90℃, 30分)し物性測定に供した.構造変化度を表面疎水性測定にて評価し,SPAの量をサイズ排除クロマトグラフィーにて,化学結合をSDS-PAGEにて評価した.

【結果】ゲルの最大荷重は4時間乾熱処理では,NaCl 2, 4倍量の試験区で,1倍量の試験区と比較して1.3, 1.6倍増加した.表面疎水性は,NaCl 2, 4倍量の試験区で,1倍量の試験区と比較していずれも1.6倍と顕著に増加した.SPA割合は,無添加の31%に対し,39, 41%と増加が認められ,SDS-PAGEの結果から,SPAはS-S結合を介した凝集で形成されていると示された.以上より,添加したNaClは,乾熱処理中のタンパク質の構造変化を促進することで,それに続くSPA形成も促進され,よりゲル物性が向上することが明らかになった.しがたって,NaCl添加法は乾燥卵白の乾熱処理の短時間化に寄与すると示された.

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