日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第72回 (2025)
セッションID: 3Bp02
会議情報

[3Bp01-09] 加工,製造技術
プロテアーゼとグルタミナーゼ併用による代替肉のうま味・塩味増強効果
*酒井 杏匠, 奥田 啓太, 岡田 正通, 山口 庄太郎
著者情報
会議録・要旨集 オープンアクセス

詳細
抄録

【背景・目的】

 人類はタンパク質の需給バランスが崩れる「タンパク質危機」問題に将来直面している.その解決手段として植物性代替肉に注目が集まっている.植物性代替肉の課題の一つとして呈味性,特に豆タンパク質特有の風味・淡泊さが挙げられる.そこで本研究では,酵素触媒による代替肉製品のうま味および塩味増強方法の確立を目指した.

【方法・結果】

 本研究では,タンパク質を加水分解するプロテアーゼと遊離グルタミンをグルタミン酸へ脱アミド化するグルタミナーゼを使用した.先ず,これら酵素で処理したエンドウ豆タンパク質を主原料として,酵素処理組織化タンパク質(eTPP)を二軸エクストルーダーにて製造した.酵素未処理であることを除き,対照組織化タンパク質(TPP)も同様に製造した.続いて,組織化タンパク質を基にした代替肉パテ(ePBMA)および対照代替肉パテ(PBMA)を調製した.

 0.5%食塩を含む代替肉パテの官能試験を実施した結果,対照PBMAと比較してePBMAのうま味および塩味強度は有意に高いことが判明した.この塩味増強効果によりePBMAでは塩分の20%削減を達成した.続いて,人工唾液中でeTPPから遊離した成分から,うま味および塩味増強に寄与するアミノ酸およびペプチドを探索した.その結果,Gluがうま味増強に寄与し,Glu, Lys, Arg, Peptide 3(P3)が塩味増強に寄与していることが判明した.さらに塩味増強P3のアミノ酸配列は,エンドウ豆の主要貯蔵タンパク質convicilinにコードされるGlu-Gly-Lys-Glyだと同定された.興味深いことに,Lys残基の側鎖アミノ基はヒドロキシメチルフルフラールによって修飾を受けていた.実際に,精製したGlu, Lys, Arg, P3を対照PBMAに添加したところ,うま味および塩味強度はePBMAと同等であった.以上より,プロテアーゼ及びグルタミナーゼにて生成したGlu, Lys, Arg, P3は代替肉のうま味及び塩味を増強し得ることが示唆された[1].現在,本研究で見出されたアミノ酸およびペプチドとヒト塩味受容体との相互作用を解析している.

[1] K. Sakai et al. (2025) Curr Res Food Sci 10, 101022.

著者関連情報
© 2025 公益社団法人 日本食品科学工学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top