日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第72回 (2025)
セッションID: 3Bp05
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[3Bp01-09] 加工,製造技術
水溶性ルーピンマメ多糖類を用いた水中油型乳化物の乳化特性と乳化機構の解析
*根本 珠里, 足立 典史, 藤井 名苗, 柴田 雅之, 櫻田 早由利, 中村 彰宏
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抄録

【目的】ルーピンマメは, タンパク質, 脂質, 炭水化物, 及び繊維質に富み, 欧州・豪州ではアルカロイドを抑えたスイートルピンが食資源として注目されている. 本研究では,スイートルピンの繊維質(SLF)に含まれる水溶性ルーピンマメ多糖類(LuPS)の乳化剤としての機能特性を既存多糖類乳化剤であるアラビアガム (AG) と比較研究し, その実用可能性を検討する.【方法】LuPSは, SLFからpH 8.0, 120℃, 90分の条件で抽出した.質量平均分子量は, ゲル濾過クロマトグラフィー多角光散乱検出法(SEC-MALS法)にて分析した.LuPSとAGの表面張力低下能は, 平板法にて測定した.LuPS及びAG を乳化剤として用い, OC5%の乳化香料系にて超音波乳化機を用いて水中油型乳化物を作製した.レーザー回折式粒度分布計による乳化油滴のメディアン径及び粒度分布の測定,ζ-電位の測定,デジタルマイクロスコープによる油滴観察により乳化活性と乳化安定性を評価した.更に,ペクチナーゼで分解しながらLuPS乳化物の粒子径を動的光散乱測定装置で測定し, 油滴界面に形成されるLuPS糖鎖の層厚を解析した.【結果】LuPSは質量平均分子量6,710 kg/molの高分子多糖類であった.表面張力低下が認められた水溶液濃度は, AGが0.01%に対しLuPSは0.001%であった.また,LuPS乳化物は2週間後も1 µm程のメディアン径,単峰性の粒度分布を維持しており, AGよりも優れた乳化活性及び乳化安定性を有していた.乳化油滴のζ-電位はAGが-16.9~-29.2mVであるのに対しLuPSは-2.1~-12.3mVであった.このことからLuPS乳化物は立体反発によって分散安定化し,強い静電反発で安定化するAG乳化物とは分散機構が異なる可能性が示唆された.更に,油滴界面の多糖類糖鎖の膜厚は 60 nm と見積もられ,SEC-MALSで明らかになったLuPSの分子直径が 88 nm であることから,LuPSは油滴に単層吸着して乳化状態を形成していると考えられた.以上の結果より,LuPSはAGに勝る乳化活性と乳化安定性を示しており, AGに代替可能な新規多糖類乳化剤として実用化できる可能性が示された.

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