日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第72回 (2025)
セッションID: 3Bp07
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[3Bp01-09] 加工,製造技術
発酵条件の違いがカカオ⾖成分やチョコレート風味にあたえる影響の解析
*日向寺 美有, 櫻田 早由利, 宮﨑 千晶, 西山 節子, 嵯峨 寛久, 柴田 雅之, Nur Akbar Arofatullah, Donny Widianto, 佐藤 達雄, 中村 彰宏
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抄録

【目的】

近年,世界的なカカオ豆の供給不足に起因するカカオ豆の価格の高騰が社会問題となっている.一方で,アジア最大のカカオ豆生産国であるインドネシアのカカオ豆は,品質が一定しておらず十分に活用されていない.そこで本研究では,インドネシアカカオ豆の品質向上を目的とした発酵条件の検討を行った.

【方法】

ガジャ・マダ大学より提供頂いたインドネシアGunung Kidul県産カカオ豆(24年度産)を使用し,カカオ豆100 g以内で発酵を実施した.Lee 1) らの方法を参考にスターターとしてSaccharomyces cerevisiae(Sc)とAcetobacter pasteurianus(Ap)を用いて発酵試験を行った.発酵に伴うカカオ豆中のタンパク質分解,有機酸等の分析,官能評価系を構築し,チョコレートのカカオ感,酸味,苦味,渋味,甘味,フルーティーの強度と嗜好性を評価した.

【結果】

スターターを接種して発酵したカカオ豆で作製したチョコレートは,カカオ感の向上と酸味の低下が認められた.カカオの発酵過程では,初期の嫌気条件下でScによるエタノール生成が起こった後,好気条件下でApがエタノールを酸化して酢酸を生成し,カカオ感につながる香気成分の前駆物質生成が起こると考えられるが,嫌気条件から好気条件への転換時期を発酵1日目に早めたものは,発酵2日目に好気転換した通常のものに比べてカカオ感と嗜好性の向上が認められた.更にスターター接種量を減らすことでカカオ感と嗜好性が改善する傾向が見られた.以上の結果より,好気条件への転換時期やスターター接種量を最適化し,Sc,Apの増殖とこれら微生物による物質生産を制御することで,チョコレート品質が向上する可能性が示唆された.

1) Lee,A.H.,et al.(2018).European Food Research and Technology,245,511-519.

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